魂の骨格 第18回 俳優 森次晃嗣
2010-12-28 00:00 更新
『ULTRA-ACT ウルトラセブン』、『ULTRA-ACT エレキング』の発売を記念して、 モロボシ・ダン=森次晃嗣さんに特別インタビューを敢行!藤沢にある森次さんのお店「ジョリーシャポー」にお邪魔し、『ウルトラセブン』放送当時の思い出、『ULTRA-ACT』のご感想をうかがいました!
悪と戦い続けてきたセブンが、ACTで遊ぶ!?
■ エレキング、メトロン星人、キングジョー!
──『ウルトラセブン』で印象に残っている宇宙人・怪獣はなんですか?
森次 エレキングはとても印象深い怪獣です。当時はまだCGがありませんでしたから、スクリーンプロセスといって、スクリーンに投写した映像の前に立って演技をしたりしました。実は最初の撮影がエレキングの回からだったんですよ。「湖のひみつ」から入ったんです。放映では第3話ですけど、『ウルトラセブン』の歴史がここから始まったから、とても印象に残っています。
あとはメトロン星人。ちゃぶ台をはさんでお芝居があったんで覚えています。特撮と本編の撮影を全然別の場所でやっているから、どういう怪獣かということを認識しないまま芝居が始まってますからね。竹ざおに赤い布をつけて目線を決めての撮影もありましたけど、こちらのカットバックの芝居だけを撮っていくから、完成するまでどんな怪獣や宇宙人と戦っているかはわからないんだよね。その分、完成したときの驚きもあったんだけど。特撮と本編の監督がきちんと打ち合わせをしているから、つながる部分は楽しみでしたね。メトロン星人の回も川崎のおんぼろアパートとミニチュアの町並みがきれいにつながっていて驚かされます。
それからキングジョーなんてのも印象が強いね。ロケで神戸に行ったこともあって、あれも覚えています。
今はCGでなんでもできちゃうんだけど、撮影現場は周りが全部グリーンバックで、まったくイメージが沸かないから、CGというのは逆に役者の立場からは厳しいものがありますね。どのシーンを撮っていてもグリーンバックだけっていうのは、やっぱりさびしいものがあるね。
■ 『ウルトラセブン』の思い出
──放送当時のことで記憶に残っていることといえば?
森次 『ウルトラセブン』の頃は、なにしろ1年間大変でした。ほとんど休みもないし、その頃から藤沢に住んでますから朝5時の始発に乗って、帰ってくるのが夜の11時になるんですよ。それで翌日はまた5時の電車に乗ってのくり返しでしたから。 東宝美術センターに集合して、富士五湖界隈の山の中に行って撮影してくるんです。毎日朝から晩まで、目の前にいない怪獣を相手に戦い続けてきて大変でした。
ウルトラ警備隊のポインターは、クライスラーの古いのをぶった切って作っているから動かないときがあるんです。僕は当時免許を持っていなかったので、僕が降りるカットはみんなで車を押して、ブレーキだけ踏んで降りてくるという形で撮影していました。結構ポインターのシーンの撮影は多かったので、スタッフ泣かせだったみたいです。
僕ら役者陣が泣かされたのは、なんといってもあの隊員服でした。夏暑くて冬寒い。見た目のカッコ良さとはうらはらに、つらい服でした。体のラインが出るから下に着込むこともできないんです。
今みたいに『ヒートテック』みたいなものがあれば楽だったんでしょうけどね。いちばん気になるのは股間です。フィットする素材だったから、放っておくと右に寄った、左に寄ったなんてシルエットが出ちゃう(笑)。仕方がないから女性用のガードルを下に履いてピチッとした状態で撮影に臨んでました。
──まさに身を挺して戦っていたんですね。
森次 なにしろ24歳の自分ががむしゃらに突っ走った一年間でした。これを一年間やれば、次が見えてくるかなという考え方でした。ただ宇宙人の役だからね、人間の役じゃないからそれは困りましたね。宇宙人を演じるなんて考えもみなかったですから。
持っているもの全てを全部出し切れば、モロボシ・ダンになれるんじゃないかと思ってひたすら突っ走っていました。
■ 変身のコツはガムテープ!?
──宇宙人であるダンを演じる上で気をつけたことなどはありますか?
森次 演技する上で目はすごく意識しました。ウルトラアイで変身したり、透視能力で目が青く光ったり、ダンは目が印象的ですから、演技のポイントも目にあると考えたんです。
ハヤタとかは1カットで簡単でしょ、変身が(笑)。僕はウルトラアイを出して着けて、その後変わっていくカットが必要だから2カットいるんです。それで、内側にガムテープを貼ってくっつくようにしたり、ウルトラアイをくっつけるのがまた大変なんです。あれはあれでコツがあって、小道具さんがヘタだと斜めに貼り付いたりしてNGになっちゃう。そうするとはがすのがまた痛いんだよ。CGが発達したはずなのに、いまだにそうやって撮ってます。みんな1カットなのに、僕だけ2カットで、映画のときも「ずるいよ」って文句を言いましたよ(笑)。
──『セブン』といえば、ダンとアンヌの恋愛も大きな見どころでした。
森次 『セブン』のラブストーリー的な部分を評価してくれるファンの方も多いけど、あれはアンヌがダンに淡い恋心を抱いていたんです。僕は宇宙人だから、地球人と恋をするなんてタブーなんです。ダンが変に色っぽい目でアンヌを見てたらおかしいでしょ。ただ、ダンは宇宙人でありながら人間以上に人間的な部分を持っていて、そうしたところに共鳴していた視聴者は多かったんじゃないかな。ダンは借りの姿で本体はウルトラセブンだからね。
ところが借りの姿のハズのダンだけど、約45年経つというのに演じ続けることになるとは予想外でした。なんでいまだに支持され続けているのかって不思議になることがありますね。今の小さい子どもたちにも浸透してますからね。いつの間にかウルトラマンゼロなんて息子までいますし(笑)。
だからほかの現場に行っても『ウルトラ』を見て育ったスタッフなんです。録音もカメラも監督も「会えた!」って喜んでくれてね。先日も『相棒』の撮影を終えて、水谷(豊)さんが寄ってきて、「ありがとうございました。スタッフがみんな喜んでました」なんてお礼を言われました。スタッフを喜ばせに来たのかな、なんて思ったりもして(笑)。
■ 見返すたびに発見があるドラマ
──時を経ても『セブン』の人気が衰えない理由はなんだと思いますか?
森次 特撮が使われたドラマだけど、やっぱり人間を描いているきちっとしたドラマを作ってきたことがこれだけ支持され続けている理由かなと思います。子ども時代に見てわかりづらい部分もあって怖かったりもしたと思うけど、見返したときに社会的なメッセージに気づかされるというのが魅力なのかな。
再放送で見返したときに、再発見できる深さがあったというかね。スタッフもただの子ども番組を作っている感覚ではなかったですね。よく30分で完結するドラマを描いていたと思います。脚本家の力も凄かったし、スタッフもキャストも、みんないいドラマを作ろうと頑張りましたし、円谷のオヤジさん(英二)が目を光らせていましたからね。
──今回『ULTRA-ACT』を触ってみてのご感想はいかがでしょう?
森次『ULTRA-ACT』のエレキングは、小さいのに精巧にできていて驚きました。持ち上げたら重かったのでびっくりしました。セブンも手足が全部動いて、これも小さいくせになかなか重厚感があるんだよね。いろいろなポーズがとれるから、気分でポーズを変えて、結構楽しむことができると思います。
『ウルトラ』のオモチャといえば昔はソフビで、あれはあれで人気があるようだけど、『ULTRA-ACT』は遥かに進んだ技術が感じられますね。今回のセブンはファンのみなさんも楽しめるんじゃないでしょうか。いろんなパーツもあって、エレキングは口から光線を吐き出せるし(注:商品では1パーツで放電光線の連続発射を再現)、アイスラッガーもちゃんとはずれますし。こんな小さいボディに楽しみがいっぱい詰まっている感じですね。
──森次さんなら『ULTRA-ACT』でどんな遊び方を楽しみますか?
森次 僕はやっぱりアイスラッガーを飛ばすポーズで飾りたいかな。セブン独特の魅力があるポーズだしね。『ウルトラ』ってやっぱり手作りで、ピアノ線の世界から始まっているじゃない。アイスラッガーが飛んでいくのも、ウルトラホークが分離・合体するのも全部ピアノ線でやっていましたからね。凄い技術ですよ。そうしたものが円谷プロの原点ですからね。だからこうした手で触れるオモチャはとてもいいいと思うんです。
■プレゼントのお知らせ■
森次晃嗣さんサイン入り「ULTRA-ACT BOX」を、抽選で1名様にプレゼント!
[ 応募期間は終了しました ]
<プレゼント賞品>
森次晃嗣さんサイン入り「ULTRA-ACT BOX」
(ULTRA-ACT商品は付属しません)
<応募期間>
応募期間:2010年12月28日(火)~2011年1月11日(火)
[ ご注意 ]
※ お一人様1回のご応募とさせていただきます。
※ 当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
※ ご応募いただきました個人情報は、本人を特定しない形で統計処理を行ない、プレゼントの発送業務以外には利用致しません。
【 jolicapeau ジョリーシャポー 】
森次さんのお店・jolicapeauがオープンしたのは22年前。最初はシャンソンをやるためにオープンしたお店で、口コミで広がっていって、だんだん『セブン』のファンが集まるようになってきたそう。ファンに応える形で、看板にセブンを入れたり、お店に当時の写真を置いたり、すっかり『セブン』の店になりました。中には北海道や仙台、名古屋や九州などからわざわざ足を運ぶファンもいるとか。
いちばんのおすすめメニューは「ダンのハヤシライス」(735円)。森次さん自ら吟味してだんだん進化したメニューで、水を一滴も使わず、じっくりワインを煮込んでいます。取材後、スタッフもご馳走になったのですが、コクと深みのある味わいはまさに絶品!でした。シャンソン歌手でもある優しい奥様の笑顔で、とても和やかな時間が過ごせますよ。第3日曜日(19時~)がジャズ。最終土曜日(20時~)はシャンソンのライブで、森次さんが歌っています。
尚、店内ではウルトラヒーローグッズ、森次晃嗣シャンソンCDアルバム「ジョリーシャポー~悠久(とき)」特典付DVDもご購入出来ます。
営業時間: | 11時半~17時半 |
定休日 : | 月曜(ただし月曜が祭日の場合は営業・火曜振り替え休業) |
アクセス: | JR・小田急線「藤沢」駅からタクシーで約10分(「ウルトラセブンのお店」で通じるはずです)。 小田急線「鵠沼海岸」駅 徒歩10分。 |
〒251-0037
神奈川県藤沢市鵠沼海岸6-8-3
0466-34-7331
※2010年12月28日現在の情報です。
森次 晃嗣 (もりつぐ こうじ)
1943年3月15日生まれ / 北海道出身
『ウルトラセブン』のモロボシ・ダン役。劇中ではウルトラセブンの声も演じている。2010年12月23日公開の『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』にも出演。テレビ、映画、舞台等俳優業に取り組む傍ら、神奈川県藤沢市でレストラン『jolicapeau ジョリーシャポー』を経営。